愛を浮かべられたら

 

 

さあ この湖に何を浮かべよう

 

こんなに澄んだ湖に

どこから舞い込んだの

この葉は

 

きっと寄る辺もない命を

生きてきてしまったのだろう

 

 

きみはおとなしくて

人に当たらぬ顔をして

でも実は誰にも見せぬ

顔を生きてきてしまったのだろう

 

だからそんな

孤独な風をして

今は涼風に

ひとり吹かれているのだろう

 

 

きみが歩んできた道

きっとなだらかではなかった

 

その姿を見ればわかる

私もそうだったから

 

 

私はもはや

この湖の藻

あなたのように

いつかは自由を歌った

 

それでもあなたのように

行方のある人を

見守っている

 

それだけで

あなたと私は一緒

 

何も変わることはない

 

 

あなたは大海へ出ていくかもしれない

どこかの流れに沿うて

 

それでも

私を覚えていてくれるか

この自由の葉よ

 

 

きみはこの湖面に

何を浮かべるか

 

これから訪れる未来の

芳しい彩りを浮かべるか

 

 

ならば私は

この身体から

気泡を生んで

きみに纏わせよう

 

私を忘れぬように

いつまでもともにある命を

 

 

きっときみならば

その意味を

わかると信じて

 

 

ああ この湖面に

どこまでも愛を浮かべられたら

 

そうしたら

私とあなたは

ただともにゆく

愛を語るに過ぎないのに

 

そうしたら

ただともにゆく 

愛を通うに過ぎないのに