花への恋歌

 

 

花はどちらを向こう

こちらを向いたと思えば

あちらを向いて

 

きっと向こうには

キレイな景色があるのか

それほどに目を引くのであろう

 

 

花はどちらを向こう

こちらを向かせようとしても

あなたは思う通りにはいかぬ

 

 

ならばそうするがよい

二度とこちらは向くな

 

私はそう言い放って

花を捨てる

 

自分の方を向いてくれぬなら

もうお前など見たくはない

 

 

…そう言い捨てられたら

心は晴れるだろうか

 

 

だが私は

そう言って捨てることなど

できないのだ

 

なぜなら

私にはその花がないと

もう生きられなくなってしまったから

 

 

どんな困難が我を襲おうとも

もう手放さないと誓ったから

 

 

だから花よ

どうか私の方を

向いていておくれ

 

どんな太陽も

どんな水も

どんな栄養も与えるから

 

どうか私に微笑んでいておくれ

 

あなたに惜しむものなど

何もない

 

我が命など

何度捨てても

惜しくはないのだ

 

 

だから花よ

どうか我を愛せ

あなたのその命を真(まこと)に愛せるのは

この世に私一人きりなのだ

 

 

命咲く花よ

光咲く花よ

 

花花咲く花よ

私の心花咲く花よ

 

 

どうか永遠(とわ)にその花弁の露に

 

私の面(おもて)を映していておくれ