穏やかな風に

 

 

穏やかな風に吹かれていたい

 

悲しみのない

やさしい手触りのする

 

 

あなたは どこを吹いてきたの

 

そんな透き通る

やわらかな香りをして

 

 

あなたはきっと

どんな悲しみも

そっとそよいでくれる

 

どんな寂しさだって

 

 

きっと風って

あなたのようなもの

 

捉えようとしても

いつも指を

すり抜けて

彼方を見ている

 

いつもやさしい

輝きを残し

訪れては

また去っていく

 

 

あなたはきっと

風なんだね

 

すべての人に

暖かさと

涼やかさを伝え

 

さわやかに

吹き渡る

 

 

そんなあなたを

好きになった

私にできることは

 

ただ

あなたを

好きでいること

 

あなたを

とおく

想うこと

 

 

私もいつか

風になろうか

 

あなたを追う

やわらかな

やさしげな風に

 

 

でもきっと

私は

いつも

置いてきぼりで

 

たぶん風には

なりきれなくて

 

きっとあなたに

憧れるだけ

 

 

だったら

いっそ

河になって

海へ注ぎ

 

あなたに吹かれて

空をゆく

雲になろう

 

 

そして

空を仰いだら

 

寂しさも

あなたが

連れて行ってくれるだろう

 

 

ただ

穏やかな風に吹かれていたい

 

空を舞う

雪のように

 

 

穏やかな風に吹かれていたい

 

あなたを想う

一片の花びらのように